体の不調の改善にもつながる?枕の正しい使い方について解説!
公開日:2023/07/15 最終更新日:2023/05/18
旅先などで枕が変わっただけで眠れなくなってしまう人も多いことでしょう。それほど枕は睡眠の質を作用する重要な役割を担っています。自分に合った枕を見つけることは、そのまま充実した人生につながるといっても過言ではありません。今回の記事では、身近な存在である枕を改めて見つめ直し、体調改善を促す使用方法について解説します。
枕の主な役割
枕は、普段からほとんど無意識に使っているもので、今さら特別に顧みることはなかったかもしれません。枕の歴史は相当古く、日本では古墳などからも枕らしきものが発掘されているほどです。
奈良時代の木枕や草枕、江戸時代の箱枕、そして多種多彩な素材を使った近年の機能的な枕へと、時代が進むにつれて変化し、進歩しています。枕の語源については諸説ありますが、かつては魂蔵や真座と呼ばれていて、前者は、魂のおさまるところ、後者は、神を招くための場所という意味があるといわれています。
どちらにせよ、大昔から生死の境目や、神聖なものとして人々の間で認識されていたのでしょう。余談ですが、大阪の泉佐野市日根野エリアでは、毎年5月初旬に、幟の上にカラフルな枕を飾りつけて集落を練り歩くまくら祭りという祭事が行われています。
枕は「首を支えるもの」
さて、枕の役割について質問されると、頭を乗せて寝やすくするためのもの、とシンプルに答える方もいるかもしれません。実は、枕にとって大切なのは、頭を乗せることよりも、むしろ、負担がかからないように首を支えることです。
人間の体の構造上、仰向けになると、どうしても首と腰に隙間が生まれ、それぞれの部位にストレスがかかります。たとえば、よくある寝違えの原因も首への過度な負担によるもの。アンバランスな状態は、そのまま質の悪い眠りや睡眠不足にもつながり、下手すれば健康にも影響を及ぼします。
枕の間違った使い方
枕を間違った使い方で使い続けてしまうと、のちに不具合が起こりやすくなります。では、間違った枕の使用方法とはどんなものでしょうか。
枕が頭の一部しか支えていない
代表的なのは、頭の一部分だけを枕に乗せて、首や肩口にかけて隙間ができている状態です。この姿勢を続けると、筋肉が緊張する状態になるため、結果的に極端に眠りが浅くなり、最悪の場合、ひどい寝違えまで引き起こす可能性があります。
ちなみに、寝違えの正式な医学用語は、急性疼痛性頸部拘縮といいます。
枕を上下逆さまに使っている
もうひとつの間違った使い方は、単純に枕の上下を逆さまにしていることです。朝目覚めて見たら、どことなく肩が凝っていたり、体のバランスがしっくりこなかったりした場合、枕があべこべになっているケースが多いものです。
間違った例として、2つポイントを挙げましたが、どれも首を過不足なく支える、という枕の根本的な役割から外れた使い方になります。いつも使っている枕がなぜか合わない。そんな違和感を抱いたら、使い方が間違っていないか確かめてみることが大事です。
枕の正しい使い方
枕の役割、間違った使用方法について紹介しました。最後に、改めて正しい枕の使い方を考えてみましょう。突き詰めていえば、枕とは、首を適度に支えるためのもの、といっても過言ではありません。その観点からいうと、最も理想的に使用するためのポイントは2つあります。
首と枕とのすき間を埋めているか
まず、首と枕に隙間ができていないかどうかをチェックすることです。両者の距離が離れすぎていると、首に過剰な負担が生じます。
枕が肩まで支えているか
次に、枕がきちんと肩口に触れているかどうかです。頭部や首に注目されがちですが、肩口周辺もまた、心地よい睡眠を得るための重要なファクターになります。ここをちゃんと押さえられているか否か、寝る前に体勢を調節しておきたいところです。
その際には、肩全体を枕に当てるのではなく、肩口に添える程度の意識をもつようにすると、バランスの取れたよい寝姿勢になります。正しい使い方をすれば、毎日よく眠れるようになり、最終的に体調が改善されていくことでしょう。
まとめ
少なくとも人生のおよそ3分の1もの時間を費やしているのが睡眠です。この配分を知るだけでも、人の暮らしにとって睡眠がいかに大切か実感としてわかります。健やかな日々を送るためにも、質のいい睡眠をたっぷり取りたいものです。
そのために、足元、つまり、枕のことを見つめ直してみるのも必要なプロセスでしょう。今回の記事では、歴史を絡めたうえでの枕の役割、使い方についての正否などを解説しました。
枕に対する好みは人それぞれにあるでしょうが、寝るために不可欠な道具である、という点では一致するにちがいありません。本稿で提示した情報をきっかけにして、より好ましい睡眠環境の整備、体質改善に向けて取り組んでみてください。